- 2008年5月14日 09:01
- Diary
その子はちょっと変わっていた。父さんの仕事仲間の都合で、しばらくうちに住むことになった女の子だ。
見たことのないスーツの男が連れてきたその子は、背が小さくて、髪の毛が変な色で、手足が少し細長くて形が滑らかで・・・かわいらしさってそういう所からくるものじゃないかもしれないけど、全部が愛らしかった。
こんな子と一緒に住むことになるなんてのは、僕がよく読むジャンルの小説ではよくある事なんだけど・・・僕は、それが自分の身に起こることを夢見るほど、おめでたい男の子じゃなかったハズだった。僕は物事を客観的に見ることができると思っていたし、小説を読んでいると、主人公の男の子にはいろいろとアドバイスしてあげたくなった。
でも、その時は自分で自分にアドバイスなんて全然できなかった。やっとの思いで客観視できたのは、「頭が真っ白」って本当にあるんだ、と思えた事ぐらいで。何を話したらいいかも分からなかったし、普通に振る舞うことすらできず、ひとりで息を詰まらせていた。
彼女は大きな首輪をしていた。あまりにも無骨なデザインだから、アクセサリじゃないと思う。きっと何か理由があるんだろうと思って聞いてみたら、彼女は「インタセプタ」と、単語で答えた。一日でやっと1回、声が聞けた。残念ながら意味は分からなかったけど。
彼女は感情の起伏が小さいのか、ぼーっとしていたし、普通の事をいろいろ知らないようだった。でも、眼差しはとても真っ直ぐで、透き通っていた。遠慮が無いというか、遠慮など知らないというように、じっと見つめてくる。透き通った瞳の奥には僕の考えている事まで映ってしまっていそうで、最初はちょっと怖かった。でも、女の子に見つめられるのは悪い気分じゃないので、慣れるまで我慢していたんだ。
つづく(q-o vol.5より転載)